学校の先生に聞く

あらゆる職場でWebがインフラとなる時代
企業が求める人材とは

倉重 明 氏

日本工学院八王子専門学校
情報学部
マルチメディア・アニメーション学部
次長
倉重 明 氏

「今、企業に最も必要とされる人材を育てたいのです」と人材育成に情熱を注がれている日本工学院八王子専門学校の倉重先生にお話を伺いました。
 

日本工学院は日本ではじめてコンピュータ教育を始めた専門学校と伺いましたが?

授業風景はい、日本ではじめてコンピュータ教育を始めた専門学校です。

でも、その時点その時点での「企業に必要とされる人材」の育成、輩出こそが重要と考えて、常に新しいカリキュラムの導入、新たな教育手法の導入を行うことに専念してきましたので、日常はあまりそのような歴史とか伝統とかについては意識していないです。

重要視されている「企業で必要とされる人材」とはどのようにして調査されていらっしゃるのでしょうか。

まず企業と密に連携することを心がけています。例えば毎年4月に日本工学院向け企業合同説明会が行われ約600社にご参集いただくのですが、その際にも、どのような人材を企業各社が今必要としてするのかを直接ヒアリングしています。

また17万人に及ぶ卒業生とのコミュニケーションの中でも日々情報入手に努めています。中には起業して社長になって企業合同説明会に参加してくれる卒業生もあり、そんなときにはまるで鮭が川に帰って産卵してくれるような恩恵を感じながら必要な人材ニーズなどをいろいろ聞かせてもらっています(笑)。

今、企業に必要とされる人材はどのような人材とお考えですか。

Webシステムを構築できるスキルを持つ人材がますます重要になってきていると感じています。

また、資格取得、実務に必要となる実践力、プロジェクトで仕事を進める能力、コミュニケーションスキルなどのすべてをバランス良く身につけている人材が求められる傾向にあると思います。技術トレンドとしてはXMLなどのオープン系技術に移行しているようです。

XMLに関してのコースカリキュラムを教えてください。

現在は情報処理科3年制の中の1年生のカリキュラムにある「インターネット応用演習」の中で学校のシラバス情報を題材としたXMLシステム構築演習を行っています。

また「資格対策講座」の中で学生の「XMLマスター」取得を支援しています。昨年はAmazon.co.jpのしくみに喚起され、卒業研究の中でXMLを使ったWebベースの商品検索、販売システムを構築した学生もいました。今後はネットワーク系の学科でもXMLを取り入れて行きたいと考えています。

表1:2005年度情報処理科3年制カリキュラム

1年次
・プログラミング
・アルゴリズムとデータ構造
・コンピュータシステム
・ネットワーク技術
・データベース技術
・情報リテラシー
・インターネット演習
・インターネット応用演習
・マルチメディア演習
・パソコン組み立て演習
・情報基礎
・コンピュータ英語
・問題演習
・資格対策
2年次
・プログラミング
・システム開発
・Webプログラム開発
・データベース演習
・ネットワーク演習
・プレゼンテーション技法
・簿記
・ビジネス検定
・資格対策
・職業教養
・企業研修
3年次(高度情報処理科ネットワークエンジニアコース)
・卒業研究
・システム開発演習
・プログラミング
・ネットワーク演習
・プログラム論
・ソフトウェア工学
・システム評価論
・産業社会と情報化
・ビジネス論
・経営工学
・資格対策
・ビジネスマナー

授業では、実際のシステムを構築することもあるのでしょうか。

現在、某ソフトウェア企業の実在プロジェクトや国からの助成金によるオープンソース開発プロジェクトにインターンシップとして学生が参加できる機会を設けています。

また、相模原市の商店街50店舗のホームページ製作を授業の一環としてボランティアで行ったこともあります。商店主も大変喜んでくださいましたし、学生にとても良い勉強になったようです。このような機会を今後もっと増やしていきたいと考えています。

卒業生の就職先はやはりIT系企業なのでしょうか。

はい、IT系企業が中心ではあります。でも実は最近ではIT系以外の企業からも募集が増えてきています。卒業生がホテルマンとして活躍したり、自動車の販売を行ったりしているのですよ(笑)。

企業は元よりホテルや営業所などでも今やIT化が進み、ホテルマン、ディーラですら、必要なときにはWebサイトの運用や、Webシステムになにかあった際の対処できるような人材が求められてきているのです。今やあらゆる職場でWebがインフラとなる時代ですから、今後ますますIT系以外の職種からの募集が増えていくのではないかと思っています。

倉重先生、楽しいお話、ありがとうございました。

ページトップへ▲

HOMEへ戻る