XMLマスター取得推進企業インタビュー

株式会社日立システムアンドサービス、
XMLマスター1,000名体制でXMLビジネスを推進

竹内 成明 氏XMLマスター取得者は、2003年9月末時点で6,000名。そのうち国内トップ1,000名のXMLマスターを擁するのが株式会社日立システムアンドサービスです(以降、日立システムと記載します)。

XMLマスターを日立システム社内で推進されている日立システム 事業企画部 部長 竹内 成明氏に「XMLマスター取得者1,000名」体制を目指した背景及び、今後の日立システムのXMLビジネス戦略を伺いました。

「XMLマスター取得者1,000名」体制を目指した背景

私たち日立システムは日立グループの主要なシステムインテグレータとして、約4,000名のエンジニアを抱えるSE集団です。金融、流通などの様々なビジネスフィールドで個々異なる案件を抱えシステム提案、システム構築を行なっています。私たちはXMLマスターが始まった2001年頃から、SEには「XMLについてその特徴を理解し、適切なアドバイスをお客様に行うことができること」が必要であると考えていました。当社のSEはプログラマと違い、プログラミング言語などを理解する以上に各要素技術についてどのように利用していけばよいかを見極める能力が求められます。SE一人ひとりが自分の顔を持ち、お客様ときちんと会話をし、お客様に最適なご提案ができるようにならなければなりません。そこで社内のSEが皆、XMLについて一定水準以上の技術力を確保できるよう社内で「XMLマスター1,000名育成プロジェクト」を発足しました。

1,000名育成のための社内推進体制

当初の計画どおり、2年間という短期間で取得者1,000名を達成するためには社内にきちんとした体制がなければできません。まず社内でインフォテリア認定コースを開催し、社内でXMLマスター試験に対応した教育をきちんと学習できるようにしました。次に、全社運動的な制度や仕組みの工夫として、社内褒章制度を設け、XMLマスター取得者には一時金を支給したり、受験料を補填することで社員の取得意欲を高めました。さらに各部署のXMLマスター取得進捗状況を定期的な全社の会議で報告し、取得状況のよい部署を紹介することで、芳しくない部署に競争意識を高めるという活動も実施しました。

日立システムのXMLビジネス戦略

現在、日立システムではXMLを使ったソリューションに力を入れています。会計・財務情報のXMLベースの標準フォーマットであるXBRL、XMLベースのニュース配信フォーマットNewsML、3D CADデータを劣化させずに圧縮するXMLベースの規格XVLなどの市場がようやく立ち上がり、日立システムではこれらのフォーマットを使った業務用アプリケーションの構築を支援しています。XBRLについては、各種の業務システムとERPを連携し連結会計を実現するXiRUTEというパッケージ製品も販売しています。

また今後は、Webサービスやグリッドコンピューティングといった新たな技術分野にも力を入れていきたいと考えています。Webサービスについては先行案件を手がけることに注力しています。通信販売業のニッセン殿と協力して、実際の利用方法を想定したWebサービスのセキュリティとトランザクション管理の検証実験を行うなどして、着実にノウハウを蓄えてきています。グリッドコンピューティングは、今はまだ研究段階ですが、日立製作所の研究部門と協力して実証実験などを行なっています。

XMLマスター取得者1,000名によるビジネス効果

当初の目的である「SE一人ひとりがお客さまとXMLについてきちんと話ができるようになる」ということに留まらず、社内のXMLを切り口としたビジネスに対するモチベーションを高めることもできました。図1にあるようにXMLマスター取得者の増大に伴い、XMLに関する案件数は飛躍的に伸びています。また、日立システムがXMLマスター取得者1,000名を達成したという記事が日刊工業新聞に紹介され、「XMLマスターDAY 2003」で取得者1,000名達成の受賞をしたことなどから、「XML」や新しい情報技術に積極的に取組んでいく姿勢に関して日立システムの対外的評価が高まったことを実感しています。

図1
図1
XMLマスター取得者数と日立システム プロフェッショナルサービス部で受注したXML案件数の伸び

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