村田真のXMLブログ

日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。

2008年04月 アーカイブ

OOXMLをめぐる報道のいい加減さ

OOXMLをめぐる報道を私はほとんど信用していない。不適切な記事の
一つとして、asahi.comの記事をあげておく。

この記事を読めば、ロビー活動だけによって勝敗は決したように見えるだろう。
しかし、実際にはそうではない。確かにロビー活動は両陣営によって盛大に
行なわれたが、仕様自体の改善も空前絶後の規模で行なわれたのだ。2293
ページのEcma回答書、BRMで出された43の決議がその証拠である。イギリス、
チェコ、デンマークが賛成に変えた大きな要因は、彼らのコメントが満足のいくよう
に解決されたことである。日本コメントの多くも満足の行くように解決されている。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.04.02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

個人攻撃についてのSC34の公開書簡

ISO/IEC JTC1 SC34オスロ会議の参加者の一部は、OOXMLに関する
標準化闘争において個人攻撃があったことを指摘し、それを遺憾とする
公開書簡をまとめた。私も署名した。

多くの人には、どの陣営が誰を攻撃したのか、 よく理解できないだろう。
OOXML陣営が反対者を個人攻撃したのだろうと思うかもしれない。しかし、
実際は逆である。反OOXML陣営が、OOXMLに理解を示した人(小企業
に属する人またはまったくの個人)を攻撃したのだ。その例として、ODF陣営で
ありながらOOXMLに理解
を示したPatrick Durusauに対する攻撃
最終的に賛成したイギリスの委員であるInigo Surguyに対する攻撃
挙げておく。BRMの議長を務めたAlex Brownなどはそこらじゅうで叩かれている。

個人攻撃を止めようというもっともな公開書簡に反発した記事が一つだけある。
NOOOXMLサイトの記事である。内容は各自でご確認されたい。

追記: チェコのHoDのJirka Kosekもひどい目にあったらしい。DIS 29500の問題点
を指摘して反対したが、それらが解決されたので賛成に回った。彼のしたこ
とはそれだけである。


投稿者: 村田 真 日時: 2008.04.13 | | コメント (0) | トラックバック (0)

もう一つの記事の誤り

「Open XMLへの個人攻撃は中止を」--ISOが抗議活動終結を呼びかけ
も多くの誤りがある。

まず、ノルウェーにおける抗議活動と、「個人攻撃」をやめるようにとの公開書簡との間に
はなんの関係もない。公開書簡がなにを対象としているかは、前回の記事に書いた。
これについては原文も間違っているので日本側の責任ではない。

しかし、OOXMLのISO標準化の見直しが「理論的には、万が一、ISOが投票後
1~2カ月以内に反対を表明すれば起こり得ることではある。」は翻訳上の誤り
と原文の誤りの両方がある。まず、「理論的には、万が一、投票した国が投票
後1~2カ月以内に自国の投票について反対を表明すれば起こり得ることでは
ある。」と直せば、翻訳としては正しい。しかし、原文も間違っている。万が一に
もありえない。自国の投票を撤回することを許せば、投票制度自体が機能しな
くなってしまう。それに一票差ではないので、ノルウェーの投票をカウントしなく
ても結果は同じである。

私はノルウェーの抗議活動は、各国に対する侮辱であると考えている。各国に
対し、お前には判断能力がないと言っているに等しいからである。他国のことは
知らず、日本に関する限り、意思決定プロセスになんの問題もない。日本は、
内容をきちんと把握したうえで、賛成投票することを技術委員会における投票で
決定した。技術委員会に直前になって加わったメンバーなど皆無に等しい。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.04.17 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLのRELAX NGスキーマ

OOXMLのnormativeなスキーマはW3C XML Schemaで書かれているが、
non-normativeなスキーマとしてRELAX NGで書かれたものが存在する。

DISの時点では、Rick Jelliffeeが作成したXSLTスタイルシートによって、
W3C XML SchemaスキーマからRELAX NGスキーマが自動生成されていた。
しかし、このRELAX NGスキーマにはいろいろと問題があり、検証を通らなかった。

日本コメントとして、RELAX NGスキーマの修正を要求し、実際には私が
作業した。XSLTスタイルシートをいろいろ変更したし、rubyプログラムや新規
XSLTスタイルシートも作成した。このスキーマは、いくつかのOOXML文書に
関して正しく動作することが確認されている。

スキーマが一般に公開されるのはいつになるか分からないが、SC34の
中ではまもなく公開されるはずである。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.04.22 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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