ニヤリ
東大の特別講義で、OOXMLとODFの件を話した。この講義の内容については公開
する気はない。しかし、気が滅入るような話が多かったのは確かだ。
もっと明るい話をしよう。山口瞳じゃないが、人の仕事振りを見てニヤリとす
ることが規格の世界でもある。OOXMLの国際投票の件では、イギリスの
Inigo Surguyは素晴らしかった。OOXMLのテキストからXML文書例を抜き出し、構文解
析と検証をするプログラムを書いたことは良く知られている。これは今後の
WG4の活動にも大いに役立つはずだ(OOXMLの最終テキストをこのプログラムに
かけると、いったいいくらエラーが見つかるだろう?)。
DIS時点のOOXMLのスキーマでは、まったく同じsimple typeを複数のモジュー
ルで何度も定義していた。当然、メンテナンス上好ましくない。私は、XSLT2
のプログラムを書いて、同一のsimple typeの重複定義をすべて指摘した(つ
もり) 。イギリスの連中と晩飯を食べながらこの話をしたところ、Inigo も
同じことをしたと言う。ううむ、おぬし出来るな。日本とイギリスのコメント
の結果、完全に重複するsimple typeについては一箇所にまとめられた
(shared-commonSimpleTypes.xsdとshared-commonSimpleTypes.rnc)。OOXMLの
スキーマがマイクロソフトのMSXMLでしか動かないことも、Inigoと私だけが指
摘して修正させた。
イギリスが投票に付したコメントは全体としてまったく大したものである。私
も偉そうな口を利いているが、あれには日本コメントは完全に負けた。悔しい。
日本だけではなく、他国のコメントすべてを質・量ともに圧倒している。大英
帝国の威信いまだ衰えずというところか。
これには後日談がある。OOXMLの最終テキストがSC34内で公開された直後に欠
陥報告を提出したのは日本である。これを知ったイギリスが悔しがること悔し
がること。急いで、いくつか欠陥報告を提出してきた。
いまのところ欠陥報告では日本がリードしているが、これからイギリスは大量
の欠陥報告を提出してくるだろう。遅れをとっては幹事国たる日本の沽券にか
かわる。1月の沖縄会議までに、さらなる欠陥報告を出さざるべからず。
追記: メディア型だけで10ぐらいは簡単に出せる。BRMの積み残しが10程度
あり、 フォントに関連するものも出せる(鈴木先生の論考を参照)。
投稿者: 村田 真 日時: 2008.12.04 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)