日本語中間フォーマットとEPUBの国際標準化(デジュール標準)
1) 日本語中間フォーマット
国際規格IEC 62448について、韓国は2010年5月のソウルCJK非公式会議
の時点ですでに知っていた。どんな状況なのかと聞かれたので、IEC 62448
にあるXMDFを押す動きと、IEC 62448を忘れてEPUBを押す動きが、日本
国内にあることを説明した。どちらの動きに組するのかと重ねて聞かれた
が、私は明言を避け、EPUBに日本語がきちんと入らないと、日本国外では
日本語電子書籍が読めなくなるから、入れるとだけ述べた。
2010年9月の東京SC34会議のとき、日本語中間フォーマットのIEC 62448規格化
について改めて意見を聞かれた。私には、注印符号を必要とする台湾人同僚も、
双方向テキストを必要とするユダヤ人同僚もいる。日本人の日本人による
日本人のための仕様を国際規格化する? 口が裂けても賛成などできない。
反対すると今度は明言した。イギリスもこの件については事情を承知し
ている。
今後、イギリスや韓国は、TC100において、日本語中間フォーマットの
IEC 62448規格化を阻止しようとするだろう。投票・総会審議など方法は
いくらでもある。この二ヶ国以外も、だんだん事情を把握しつつある。
OOXMLの国際規格化が難航したように、そしてODF 1.2の国際規格化が
今後どうなるか分からないように、日本語中間フォーマットのIEC 62448
規格化は、まったく先が見えないと思う。
なお、日本語中間フォーマットについてはJIS化することもできるかどうか
分からない。外国関係者の意見陳述という制度がJISにはあるので、日本語
中間フォーマットは非関税障壁だと諸外国が主張する可能性がある。
2) EPUB
EPUBを国際規格にすることは、IDPFにおいてずっと議題に上っていた。
IDPFはアメリカのIT企業のためだけの団体ではないかという声がヨーロッパ
にはあるので、ヨーロッパでの普及を進めるために国際規格が望ましい。
IDPFのboardには、EPUBの国際規格化を検討するという合意が以前からある。
国際規格化については、IEC/TC100, ISO/TC 46, JTC1/SC34の3ルートが
候補になっていた。今回の東京会議の間に、SC34の議長・コンビーナの
間で話し合った結果、IDPFに働きかけようということになった。そして、
直ちにIDPF WGリーダとSC34の議長と私が電話会議を持った。ad-hoc
groupをSC34に作って今後の進め方について検討しようというSC34側
提案をIDPF側は検討し、その21時間後にはIDPFのboardミーティングで
満場一致で合意した。これを受けて、SC34はその数時間後の総会に
ad-hoc groupの設立についての決議を出した。あまりに急だったので、
SC34総会で最終決定するのではなく、30日間のdefault letter ballotとした。
このad-hoc groupでは、来年3月までにIDPFや他の関係者と話し合い、
今後どうするかをSC34プラハ総会(2011/3)に提案する。提案後、ad-hoc
groupは解体されるが、新WG設立がプラハ総会で承認される可能性は
ある。Ad-hoc groupのコンビーナは、韓国のYong-Sang Cho博士(韓国)
と私が務める予定である。
投稿者: 村田 真 日時: 2010.09.11 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)