村田真のXMLブログ

日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。

OOXMLについてのもう一つの記事

Tim Brayの記事のほかにも事実についてほとんど誤りのないものとして、ギリ
シャ代表団の人が書いた記事がある
。私はこの記事のことをTimの新着記事で知っ
た。

Paper ballotの真実については、この記事がいちばん参考になる。ただし、
abstainとdo not wish to record our positionは、ニュアンスが違う
(abstainは消極的反対)という指摘はある。

しかし、この記事で表明されている意見(事実と意見は区別して書かれてい
る!)に私は必ずしも同意しない。たとえば、"My opinion, for example,
and many delegates agree with me, is that the Ecma responses make the
text slightly better, but though slightly better it is still abysmal."
(注: abysmalは酷いという意味)に、私は賛成しない。大幅な改善の例をいくつ
かあげる。1) non-ASCII OPC part名を許せという日本コメントを、Ecmaは完全
に受け入れてOPCを大改定した。2) IETFに通っていなかったURIスキームを落
とす又はIETFに登録せよという日本コメントも、Ecmaは完全に受け入れ、IETFに
登録した。 3) スキーマが、マイクロソフトの検証器でしか動かないという日本
コメントもEcmaは完全に受け入れ、他の検証器で動作するよう修正した。ほか
にも、大きな改善となっているdispositionは日本の分だけでもいくつかある。
もちろん、問題を隠すだけのdispositionもあるし、多少改善したに過ぎない
dispositionもある。

BRMの結果でどこまでOOXMLが改善されたかの正確な評価は、paper ballotで
通ったすべての変更を見ないと分からない。私も、これからすべての変更をもう
一度見てみるつもりである。

なお、この記事は、先に言及した 「OOXML Fails to Get Majority Approval
at BRM - Updated 3Xs」
について、"overinterprets the paper ballot"だと
書いている。実に礼節をわきまえた言い方であると私は思う。

追記: 上に書いた大幅な改善のうち、1)と2)はpaper ballotで承認されている。
ギリシャ代表団は、各国のコメントを精査してはいないそうだから、きっと
気づいていないのだろう。

投稿者: 村田 真 / 日時: 2008.03.06

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