村田真のXMLブログ
日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。
SC34プラハ会議(OOXML関係分のみ)
3月24日から26日までSC34/WG4(OOXML)会議を開催し、コンビーナを勤めた。また、27日にはSC34総会に出席した。総会の決議を参照。
プラハ会議までに、ISO/IEC 29500(OOXML)について169の欠陥報告が提出された。これらを提出したのは、イギリス、スイス、イスラエル、及び日本である。
これらの欠陥報告に対応して、ISO/IEC 29500を変更する必要がある。必要な変更のいくつかは、technical corrigendaの範囲を超えている可能性があり、むしろamendmentによって扱われる可能性がある。
WG4では、technical corrigendaとamendmentを区別するためのいくつかの評価基準を作成した。これは、WG4の文書としてもSC34の文書としても発行される予定である。
イギリスからの最新の欠陥報告は、小さいが重要な変更を提案している。具体的には、ある属性の許容値をtrue/false/0/1からon/offに変更する。この変更は、Ballot Resolution Meetingでの決定を覆すものなので、詳しく検討することを各国に要請した
ISO/IEC 29500の欠陥のひとつはきわめて重要である。その欠陥は、Ecma最初の版のOOXMLとISO/IEC 29500 OOXMLとを簡単に区別する機構がないことである。何らかの機構を提供しなければならないことは合意されている。この機構は、既存の実装と文書に深刻な影響を及ぼすことは確実なので、慎重に検討する必要がある。WG4での議論の結果、二つの機構とその得失をまとめた文書を作成した。これはWG4の文書としてもSC34の文書としても発行される予定である。
現在ある欠陥報告に対応するため、次回のWG4会議後にDCOR投票とFPDAM投票を開始することを決めた。PDAMではなくFPDAMから開始するのは、欠陥報告に起因する小規模な拡張しか行っていないためである。
今回の会議では、日本からの拡張提案が紹介された。WG4は、各国とリエゾン組織に拡張を提案するよう呼びかけている。
Ecmaには、マイクロソフトオフィスの次のバージョンに必要な拡張のすべてを開示する計画がある。開示は、WG4のシアトル会議で行われる予定である。
適合性試験についての情報交換を行った。Fraunhofer Fokusとマイクロソフトは、OOXMLの実装と文書をテストする体制を作ることを計画している。WG4においても適合性試験用テストデータと適合性試験方法に取り組むことは可能であるが、何の決定もなされていない。
投稿者: 村田 真 / 日時: 2009.04.02
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